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断酒四十四日目

 どん底の底が抜けると底なしかと思ったらどん底の底がまぼろしの底だったと知りました。どこまでも想像力が働いてどん底がどん底ではなくてそのもっと下にもっと悲惨な底が待ち構えていて明日はもっと大変なのではないかと不安で心配で押しつぶされそうになることがあります。

 

 生活が安定していてしあわせであればあるほどちょっとした出来事でどん底の底を想像して怖くなります。

 

 ここを耐え抜いたら好転するはずだという根拠のない安心感は死を目の前にしたらまったく役に立たない空想です。

 

 いま、この瞬間にわたしが死んだ。今日のわたしは死んだ。明日の私はどうだ。

 

 イメージを無意識のこころにしみこませていくと地獄の底で光をみるはずです。とことんどん底を見つめ続けたら反転してどん底の底が深ければ深いほど見えてくる光の世界が高く尊くありがたく見えるようになります。

 

 地獄が我が家と見切った人であればどん底の底はいくら踏みしめても底が抜けることはありません。どれほど地団駄を踏んで飛び跳ねて惨めな姿でバタバタしても地獄が住処の人は最も尊いひかりを見るのです。

 

 私はかならず死ぬ。

 

 私が死ぬ。

 

 私の死を想像しておそれおののいている私。

 

 どん底の底の底に救いがあるとは想像がつかない世界です。やさしい言葉。ぬくもりのある態度を心がけましょう。努力すれば誰でも誰かのぬくもりを生み出す言葉や態度を身に着けることができます。

 

 今日のいのちは尽きませんでした。夜がやってきます。