煩悩心から生じた信ではない

 アジャセが申し上げた。

 

 世尊、世間では伊蘭のたねからは悪臭を放つ伊蘭の樹が生えます。伊蘭の種から芳香を放つ栴檀の樹が生えるのは見たことはありません。わたしは今はじめて伊蘭の種から栴檀の樹が生えるのを見ました。伊蘭の種とはわたしのことであり、栴檀の樹とはわたしの心におこった無根の信であります(現代語版信文類295ページより引用)

 

 伊蘭はイランと読みます。とてつもない悪臭を放つそうです。栴檀は香木のことですからお寺の本堂の匂いを思い出してみてください。

 わたしが悪人こそを救いの目当てにするという金言に感動してお坊さんを目指したころ、アジャセの話しを聞いてびっくり仰天しました。

 父殺しをして地獄行きが怖くて仕方がなかったアジャセがお釈迦さまに導かれて他力回向の信をおこす場面です。

 

 すぐに自分事のように考える癖があるわたしは自分のような人間がお経に登場するという感動で打ち震えたのであります。